
本歌取り、させていただきます。
ぶっちゃけ、地藤塾の根本にある考え方も、まさにこれなんですよね。
もちろん、「丁寧に教えてくれる塾」が評価されるのは当然のことだと思いますし、それ自体はとても大切な価値です。
ただ、現実的に考えてみると、学校の教科書に載っている問題、塾の教材、過去問、応用問題……そういった“膨大な数の問題すべて”を一つ一つ丁寧に、しかも時間をかけて全部教えるというのは、正直に言って不可能です。
どれだけ優秀な先生がいても、時間も生徒の集中力も有限ですから。
だからこそ、地藤塾がが大事にしているのは「自分で考えて、自分で乗り越える力」を育てることです。ただし、これは理想論だけではありません。実際の現場では、やはり「時と場合による」というのが本音です。
皆さんも一度は耳にしたことがあると思いますが、あの有名な老子の言葉があります。
「魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教えよ。」
まさにその通りだと思います。一時的に魚を与えるよりも、釣り方さえ知っていれば、明日もその先も自分の力で魚を手に入れることができる。つまり、自立した学習者になれば、どんな試験や課題にも柔軟に対応できるようになる。
これはまさに、教育の理想的なあり方そのものです。
しかし——。
現実はもう少し複雑です。
困っている生徒って、今まさに困っているんです。
「魚の釣り方を教える」ことが重要なのは間違いありませんが、その釣り方を理解する余裕すらないほど、差し迫った状況にある子もいるんですよね。
例えば、テスト直前だったり、苦手意識が強くて問題に触れるのも怖い状態だったり……そういうときに「釣り方を覚えなさい」では、やっぱりしんどいんです。
だから、そういう場面ではある程度割り切って、しっかり「魚を与える」方に切り替えます。つまり、しっかり教えます。繰り返した方が良いと判断した内容は、何度も同じ説明をする代わりに、動画として保存しています。生徒は自分のペースで繰り返し視聴できるようにして、理解の定着を支援します。
でも、それは「常にそうする」わけではありません。
通常の学習時間には、できる限り自分で考えてほしいと思っています。
数学関して言うのならば、導入部をしっかり読み込んでもらい、例題を自分の頭で追いかけて理解し、そこからその例を真似して練習問題に挑戦していく。こうした「型を真似して、自分で応用する力」を養うことが、最終的に一番の学力になります。
私たちが本当に伝えたいのは、「正解の出し方」ではなく、「考え方の作り方」です。解き方の丸暗記ではなく、「どうしてそう考えるのか」「どうしてこの式になるのか」といった、根本の思考プロセスに踏み込むこと。これはテスト前にやるわけにはいきません。テストとテストのつなぎの間には、ぜひそういった学習をしてもらいたいと思います。
当然考え方がわからない時には、どんどん質問してもらってかまいません。
こういった勉強の仕方が身につけば、どんな問題集を開いても、どんな形式の問題が出てきても、「自分の力でやれる」という自信と力が育っていきます。
このような勉強を身につけた子は本当に強いです。
過去問等をやりこんで外形的なテストの点数だけ上げている子もたくさんいますが、本番で過去最高を叩き出してくるのは目先の点数にこだわらず、そういった学習方法を身につけている子です。
それが、地藤塾の目指す本質的な学びの姿なのです。