「天下の丸高」の実力と落とし穴 〜進学校・丸亀高校の真実〜
西讃地区で「天下の丸高」と称される(ていた)香川県立丸亀高校。
かつては東大に毎年5~6名の合格者を出し、その名を全国に響かせたこともありました。甲子園に出場することもある公立進学校としても有名。今でも香川県を代表する進学校であることに違いはないが、近年はその姿も少しずつ変わりつつあるのが現実。
🎓 進学実績はまだまだ健在、でも…
現在の東大合格者は年間1~3人。しかもその多くが浪人を経ての進学。現役で東大・京大・医学部に進学するには、理系なら「上位10名以内」に入っておく必要があるという、非常に狭き門。
平均的な生徒は、学習の診断で言えば200点前後(満点250点)のライン。ここがようやく「中間層」、すなわち香川大学レベルの進学圏に入る指標。
📚 診断200点の「質」は人によって大きく違う
ここで一つ大事な視点がある。
「勉強しなくても200点」取れる子と、死ぬほどやって200点の子では、入学後の伸びが全く違うということ。
後者は入学後も全力で勉強を続けなければならないのに対し、前者にはまだ余力がある。入学してから、どれだけ実力を磨いていけるかが分かれ道。ただ勉強しなくて200点の生徒は、勉強の仕方をしらないので注意。
🏫 塾依存とドーピング型学習の落とし穴
近年は定期テスト・実力テストですら「過去問頼り」の傾向が強く、模試も対策で乗り切ってしまう生徒が目立つ。表面的には高得点が並ぶが、本番の共通テストでは過去最低点を叩き出すというケースも珍しくない。
なぜか。
これは「実力」がついていないから。
目先の点数を取ることだけを追い求めると、「考える力」や「未知の問題に立ち向かう力」が育たない。
診断で200点を超える生徒は、県全体で上位5%程度に位置し、地頭も悪くなく、素直に勉強すれば神戸大学クラスには手が届く力を持っている。
ただ、そういう生徒ほど「効率の良い方法」に走りがち。結果、「地力を育てる勉強」をしないまま、失速してしまう…。
これはは非常にもったいない。
🚩 丸亀高校は部活の学校ではない
「部活も勉強もがんばりたい」という考えなら、別の学校を選ぶべき。丸亀高校は勉強に重きを置く学校であり、部活を本気でやりたい人には不向き。文武両道とは言っているが、その意味を履き違えてはならない。
その意識を持たずに入学すると、「思っていたのと違った」と後悔することになるかも。
🎓 指定校推薦が余る!? 国公立信仰の強さ
丸亀高校の進路指導では、国公立大学への進学を強く推奨する傾向があり、その結果、なんと早慶レベルの指定校推薦枠が空くこともある。
これは見方を変えれば、「大きなチャンス」。私立大学に進みたいという明確な意思がある人にとっては、あまり知られていない穴場。ただしそう簡単にはもらえない。
💡 本当に上を目指したい人へ
丸亀高校で「神戸以上」を狙うには、範囲学習を徹底し、深く理解することが必要。あとは時間をかけること。
模試の点を上げることではなく、範囲全体を網羅し、自分で考えて取捨選択する力を育てること。これこそが、進学校で求められる学び。
🔍 「ダッシュクラス」の現実
通称「ダッシュクラス」と呼ばれる上位クラス(そんざいしてないんだけど)に入るためには、定期的に上位40位以内に入ることが必要。しかし単純に点数だけではなく、成績の上がり調子・下がり調子なども考慮されている節があり、一筋縄ではいかない。
加えて、過去問ドーピングで一時的に上がった成績で入った場合、その後についていけず脱落するケースもある。
🎯 まとめ:本気で成長したいなら「自分で考える」
丸亀高校には「上を目指す空気」があるが、本当の上位層は群れません。一見仲良くしていても、それは方向性が一致しているだけ。
表面的な真似では学力は伸びない。
他人のやり方を「なぞって」いても、自分にとって最適とは限らない。「自分は何を目指すのか」「どう勉強するべきか」を自分の頭で考えることが何より大切。
丸亀高校は、確かにハードルの高い学校。。しかし、真の実力をつけて大学進学を目指すには、非常に良い環境であるのはまちがいない。
目先のテクニックに走るのではなく、じっくりと「本物の力」を育てたい。そう思う中学生・保護者の方には、ぜひ真剣に向き合ってみてほしい高校。
以下はデータ。
🎓 基本情報
- 創立:1893年(旧制中学校が前身)、1899年に女子校創設。現在は男女共学。合併・改称を経て現校名に
- 所在地:丸亀市六番丁1番地(JR丸亀駅から徒歩約1km)
- 校訓:「終始一誠意」 。
- 全日制・定時制・通信制の3課程があり、普通科を設置。また全国的にも珍しい卒業生が1年のみ在籍することができる補習科が設置されている
- 生徒数:全課程合わせて約1,100名、卒業生は4万人以上
🎯 学習と進学
- 進学校としての地位:香川県内で偏差値は約69、県内公立2位にランクイン
- 授業構成:50分ではなく65分×5限というじっくり学ぶ形態を取っており、2年次から文理別クラス、3年次には成績上位者による「ダッシュクラス」を設置 していると噂されるがダッシュクラスは存在しないのが定説
- 進学実績:香川大学・岡山大学・広島大学など国公立大学への多数合格者を輩出。県外難関大への進学者も多数
🎉 校風・行事・部活動
- 校風:自由な雰囲気で、服装・髪型のスクールポリシーはあるものの、生徒に裁量が任されている
- 行事:
- 「だ祭」(新入生歓迎)や伝統ある運動会(香川県立丸亀競技場で実施)
- クラス対抗の球技大会「津島杯」や文化祭「斯文祭」
- 部活動:
- 運動部:陸上・ソフトテニス・ハンドボール・水泳などが県大会上位常連
- 文化部:吹奏楽や書道、美術なども活発
📚 特色ある施設・歴史的建造物
- 丸亀高校記念館:大正時代の旧制丸亀中学本館で北欧風建築。1996年に登録有形文化財に指定
- 図書館:猪熊弦一郎の壁画「風車と太陽」など貴重な作品を収蔵
- 伝統:「女子サッカー最古の記録」に関わる写真が現存しており、なでしこジャパン発祥の地とも言われる